40年の年輪が語る檜の静かな復活劇
岩手県の住宅のお庭に植わっている一本の檜。
南側に建物があるため、直射日光が当たるのは冬の朝の数時間だけ。
午後は西陽が少し差し込む程度で、樹木にとってはなかなか厳しい環境です。
定植した当初は陽当たりが良く、ぐんぐん育っていたそうですが、 30年ほど前に南側に家が建ってからは、ほとんど大きさが変わらなかったとのこと。 ここ数年は枯れかけていたため、2024年の夏から数回に分けて “生きてる肥料”を処方されたそうです。
すると、弱っていた檜が、少しずつ元気を取り戻し、青々とした葉を茂らせていたそうです。
しかし諸事情あって、2026年3月に伐採されることに。
その切り株の断面を見せていただくと、そこには檜の“40年の物語”がしっかり刻まれていました。

陽当たりが良かった頃の年輪は広く、のびのび。
陽当たりが弱くなってからの年輪は、ぎゅっと詰まって細い。
そして—— いちばん外側の年輪だけが、ふたたび広がっている。
その広がった2年分は、ちょうど“生きてる肥料”を処方していた時期とぴったり重なるそうです。
陽当たりは変わっていないのに、枯れかけていた檜が再び大きくなれたのはなぜでしょう。
肥料の成分がドンピシャだったのか。
それとも、根の奥で菌根菌が「まだ大丈夫、もう少し伸びてみよう」と、そっと背中を押していたのか。
答えは檜にしか分かりませんが、あの外側の年輪の“わずかな広がり”は、確かに誰かのがんばりの跡でした。
今日もどこかで、光の少ない場所に立つ樹木たちを、菌根菌が静かに支えているのかもしれません。